ニュー・シネマ・パラダイス

Nouvo CINEMA Paradiso

製作 フランコ・クリスタルディ
監督 ジュゼッペ・トルナーレ
脚本 ジュゼッペ・トルナーレ
音楽 エンニオ・モリコーネ
出演 フィリップ・ノワレ/サルヴァトーレ・カシオ/マリオ・レオナルディ/ジャック・ペラン/アニェーゼ・ナーノ

内容紹介
舞台は戦後のシチリアの小さな村。村の娯楽は映画のみ。少年トトも母親の 目を盗み、映画を観にいく。映写技師、アルフレードとの心のふれ合いを描 いた映画。
おもふところ
この映画ははっきり言って、私が生まれてこの方、観た映画の中で、最高の ものでした。で、当初の5段階評価に反して、★六つ。すいません・・・。 何よりも、人間描写がうまい。言葉にはできませんが、ほんとに、絶妙なん です。言葉の端々に、深みを感じます。人間が生き生きとして ます。暖かいんです。
この映画には、今二つのストーリーがあって、劇場で公開されたカット版、 そして、3時間のオリジナル版です。私がみたのはオリジナル版だけ。で も、劇場版もDVDを買ってみるつもり。
さっきも言ったように、この映画には深い含蓄があると思う。まず、ぱっと 観ただけでも、移ろいゆく時間と変わらない人々の暖かさを対照的に描いて いる。これがまた絶妙で、たとえば、乗り物によって時代背景を表し、広場 に愛着をもったおっさんの姿で人間を描いている。表面だけ観ていれば、そ う、ただの感動作に終わるのだが、何かが私の心には引っかかる。どう考え ても、ただ人間の温かみを描いただけの映画ではないのだ。
じゃぁ、何がひっかかってんの?って言われたら、それがまたむずかしいけ ど、たぶん、人生の難しさ、みたいなものを描いているように感じる。
この映画において、アルフレードがトトに対して言いたかったことは、それ はたぶん、人生は映画のようにはいかないんだ、ということなのだと思う。 アルフレードはトトとエレナ(トトの恋人)の映画のような恋を邪魔しさえ もするのである。オリジナル版ではエレナに再会するが、劇場版では再会の シーンは抜かれているらしい。それではこの含蓄、に気づきにくいかもしれ ないと思いつつ、それは本筋からずれるのでおいておくとして、やはり、物 語の舞台がシチリアであることが大きいのであろうか。シチリアと本国イタ リアはあまり仲がよろしくない。支配してきた側と支配されてきた側、そう いう思いもこの映画に眠っているのかもしれない。え、深く考えすぎ?
この映画で一番私の心に残ったのは、やはり王女と兵士の話に関するところ だろうか。エレナに恋をして、悩んでいるトトにアルフレードは王女と兵士 のおとぎ話をはなして聞かせる。王女に一目惚れした兵士が、100日間王 女の部屋の窓の下で待ち続けてくれたら、私はあなたのものになります、と 言われる。この兵士は、雨の日も雪の日も王女を待ち続けるが、99日目に 去ってしまう。アルフレードはトトに、この時の兵士の気持ちが分かったら 教えてくれ、と言う。トトはこのおとぎ話のようなことを、実際にエレナに 対してするのだが、トトはついに断念してアルフレードに言うのだ。あと一 日待てば王女は兵士のものになる。でも、もし王女が約束をやぶったら?、 と。